今月の指針11月号「蘭室(らんしつ)の友となれ!」 目師会の月
「朱(しゅ)に交われば赤くなる」。
良くも悪くも人間は友人次第、友を選び、善友に近づいて人格を磨け、悪縁は断ち切れ、という戒めです。
有名な「孟母三遷(もうぼさんせん)」の故事は、環境に支配され易い人間の弱さを教える教訓でもあります。
『立正安国論』に、
「人の心は時に随って移り、物の性(しょう)は境(きょう)によって改まる。」
(新編248頁)
と。水面(みなも)に浮かぶ月は、波の動きに合わせてゆらゆらと揺れ動き、戦場の兵士は、敵の攻撃に従って左右に靡(なび)く、人の心も同じです。つまり人間は悪縁に弱く染まり易いのです。
だからこそ悪縁に紛動(ふんどう)されない人格を磨く正しい信仰が不可欠なのです。
それは、単に受け身だけのものではありません。正しい信仰は、確信の人生を生きる力であり、環境を支配し周囲の人を動かす力です。
ところで仏法は、世間からかけ離れた空理・空論を翫(もてあそ)ぶものではありません。正しい信仰で磨いた旺盛(おうせい)な生命力は、毎日の生きる原動力です。信心の為の信心ではなく、厳しい宿業に立ち向かい、世間の荒波を悠々と乗り越える力です、そこに生きた信仰の価値があるのです。
優雅な香り漂(ただよ)う蘭室。そこにいると優雅な香りがいつしか身に沁(し)み込むように、高徳の人と交われば自ずとわが身が磨かれます。正法伝持の人に交われば、謗法に染まった徳薄垢重(とくはくくじゅう)の人間でも、やがて感化され正法を持つことが出来る道理です。
三大秘法の大御本尊を受持する私達の責任は重大です。いよいよ日々の信行に精魂を傾けて「真の蘭室の友」となり、家を変え、周囲を変え、職場を変え、やがて地域社会をも変えていく地涌の使命を強く自覚し、自行化他の信行に邁進(まいしん)しようではありませんか。
今月十五日は、今を去る694年前、一閻浮提の御座主・第三祖日目上人が、天奏(てんそう)の途次(とじ)、美濃の垂井(たるい)の雪中に広布の至心を留められた意義深き日です。
「目師会(もくしえ)」に馳(は)せ参じ、異体同心の真心をもって御報恩の誠を捧げ、新たな飛躍の第一歩を印したいものです。
清涼寺 寺報 「従藍而青」
今月の指針 指導教師 石橋頂道 御尊師
2026年11月1日号より

