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今月の指針 4月号「折伏は法華講の命」

『諸法実相抄』にいわく、

「日蓮一人はじめは南無妙法蓮華経と唱へしが、二人三人百人と次第に唱へ伝ふるなり。」

   (新編御書666頁) 

末法万年の闇を照らす南無妙法蓮華経の題目は、日蓮大聖人が五濁(ごじょく)悪世にただ一人で点じられた久遠元初(くおんがんじょ)の光です。

その光に宿縁薫発(しゅくえんくんぱつ)して妙法を唱えた地涌の眷属(けんぞく)が、二人、三人、百人と唱え継ぎ、語り伝えて今があります。

「唱へ」とは、我が身を磨く自行であり、「伝え」とは、人に慈悲の手を差しのべる化他行に他なりません。


「末法に入って今日蓮が唱ふる所の題目は前代に異なり、自行化他に亘(わた)りて南無妙法蓮華経なり。」

   (『三大秘法抄』新編御書1595頁)

と。

自行に安住することなく化他に及ぶからこそ真の価値があるのです。

毎日の真剣な勤行と唱題で磨く高い境界が利他(りた)の心を生み、それが抜苦与楽(ばっくよらく)の折伏にわが身を駆り立てる、正に、自行満ちて化他があるのです。


 遠く中国の南朝・梁(りょう)の時代。

絵描きの名人が壁に見事な竜の絵を描き上げ、あとは睛(ひとみ)を点じて完成を待つばかり。

固唾(かたず)を飲んで待っていた人達は、一向に睛を描き入れない絵描きにその訳を聞きました。

すると、「睛を入れたら、竜が天上に上ってしまう。」と言うのです。

いくら名人でもそれはないだろう、と誰も信じません。

肩を押されるように漸(ようや)く睛を描き入れたその瞬間、その竜は壁から飛び出し昇天したのです。


 「画竜点睛」(がりゅうてんせい)で知られるこの故事は、物事の最も肝心なところ、最後の仕上げを表しています。

折伏は、私達の信心の魂であり、最も大事な睛です。

もし私達が折伏を忘れたら法華講の命はありません。

それは画竜点睛を欠いた不完全な信心となってしまいます。


 戒壇の大御本尊御図顕(ごずけん)の機縁となった熱原法華講衆の純粋無垢(じゅんすいむく)な信心、その血を受け継ぐ私達は、不撓不屈(ふとうふくつ)の精神を今に蘇らせ、未来に伝える大きな責任と尊い使命があります。


 いよいよ一年の四分の一が過ぎ、地区の組織体制も整いつつある今、山野の草木萌え出ずる躍動の四月です。

立宗宣言の意義深き月に当たり、御法主上人猊下の御慈悲に確かにお応え申し上げるために発奮し、折伏に歩き育成に精魂を傾け、白烏(はくう)の恩に報いてまいりましょう。


清涼寺 寺報 「従藍而青」

今月の指針 指導教師 石橋頂道 御尊師

2022年4月1日号より

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