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今月の指針 8月号「成功や賞賛もまた試練」 八風(利・衰・毀・誉・称・譏・苦・楽)

人間の心には、いつも八つの風が吹いている。誰もが喜ぶ四順(しじゅん)と、心に逆らう四違(しい)です。御書に、

「賢人は八風と申して八のかぜ(風)にをかされぬを賢人と申すなり。」

(『四条金吾殿御返事』新編117頁)と。

賢人とは、この八風に侵されない人のことをいうのです。

利・衰・毀・誉・称・譏・苦・楽の八つの風です。


 利(うるおい)は、利益の利、即ち潤いです。仕事や商売がうまくいって財産ができると、つい有頂天になるのが凡夫の習いです。そこに油断や慢心が生まれ、魔に狙われるのです。


 次は衰え。年をとっても、病気になっても決して弱気になってはいけません。愚癡は禁物です。大聖人は、

「年はわか(若)うなり、福はかさなり候べし」

(『四条金吾殿女房御返事』757頁)と仰せです。

唱題の功徳で、若々しい老後、豊かな老境、不屈の精神を養うことが大事です。


 更に毀(やぶれ)と譏(そしり)、人前で罵倒されたり、陰口を叩かれたり、誰にでもある経験です。しかし他人の口に戸は立てられません。折伏に誹謗中傷はつきものです。忍辱の衣を忘れてはいけません。自分に恥じるところがなければ、強い心を養って打ち勝っていけばいい。もし自分に過ちがあれば真摯に反省し、変毒為薬していけばいいのです。


 次は誉(ほまれ)と称(たたえ)です。名誉と賞賛。褒められて怒る人はいません。成功を喜ばない人もいません。しかしそこに落とし穴があるのです。試練とは苦難だけではありません。賞賛だって試練なのです。「褒められたら気を付けろ!!」と言います。賞賛を励みとして一層精進を誓う、成功を機に更なる高みを目指す。「実るほど頭の下がる稲穂かな」の精神が大事です。


 最後は、苦と楽です。諸難には打ち克つ、楽しみには溺れない。苦の中に楽があり、楽の中に苦があることを忘れてはなりません。

八風に侵されない不動の境界こそ真の幸福な人生です。


 御金言に云はく、

「苦をば苦とさとり、楽をば楽とひらき、苦楽ともに思ひ合はせて、南無妙法蓮華経とうちとなへゐさせ給へ。これあに自受法楽にあらずや。」

(『四条金吾殿御返事』991頁)

一閻浮提第一の大御本尊を懐き、信心を根本として広布に生きる私達が肝に銘ずべき永遠の指針です。


清涼寺 寺報 「従藍而青」

今月の指針 指導教師 石橋頂道 御尊師

2023年8月1日号より


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