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今月の指針8月号「自業自得(じごうじとく)」

 人は誰しも困難に遭遇し、苦境に陥った時は、その原因を外に求めて時代を恨み、社会や周囲を憎んだりしがちなものです。それが真の解決にならないことは重々承知の上で、つい口をついて出てしまうのが愚痴というものです。


 日蓮大聖人の御在世当時、最愛の信徒であった四条金吾は師匠の教えを忠実に守り、誰よりも折伏に励みました。案の定、主君や同僚の反発と怨嫉(おんしつ)は半端なものではありませんでした。いくら信心とはいえ、そんな矢面に立たされたら、愚痴の一つや弱音の一つも吐いてもみたくなるのが人情というものです。


 その時の大師匠・大聖人の御指南は、次のようなものでした。

どんな逆風が吹こうと周囲を恨んだり、相手を憎んだりしてはいけない。弱音を吐くな、愚癡も言うな、法を下げて後世に恥を残すな、と厳しく誡められたのです。


 もとより私達の命は、因果の道理に貫かれた三世永遠の命です。

無始以来の宿業は、細大(さいだい)漏らさず自らの命に刻まれています。そこには、少しのおまけも誤魔化しもありません。あらゆる苦悩と困難を自業自得と心得て、成長の試練と考えよ、大聖人は厳愛の叱咤激励をされたのです。

厳しくも、これが真の信仰者の生きる道というものでしょう。


 人生の苦楽は、過去に生きた結果に他なりません。それが因となり、御本尊という無上の縁を伴って永遠の輝ける未来が決まっていくのです。

今の自分を何より大事にして信心の一念に億劫(おくごう)を尽くし、宿業にも時代の荒波に押し流されない衆生所遊楽の境涯を悠々と切り開いていきたいものです。


 連日の猛暑も信心の目から見れば、わが身を鍛える善知識。自分を成長させる試練です。広布の舞台で躍動して流す折伏の汗は値千金、無始以来の罪障消滅につながる尊い汗に他なりません。

熱中症には勿論十分気をつけながら、酷暑も味方につけるほどの心意気で、

 「勇気をもって

   まずはひと言」

を合言葉に、勇気凛々(りんりん)折伏弘教に精魂を傾けてまいりましょう。


清涼寺 寺報 「従藍而青」

今月の指針 指導教師 石橋頂道 御尊師

2024年8月1日号より

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