今月の指針3月号「自分に勝つ」嘉納治五郎の言葉
「人に勝つより自分に勝て!」昭和のある時期、スポ根全盛の頃、巷で流れていた主題歌の一節です。
柔道の創始者・嘉納治五郎の言葉です。「自分に勝つ!」という響きがなんともカッコよく、勇気づけられたことを懐かしく思い出します。
長じてそれがいかに難しいことか、いやというほど思い知らされました。「自分なん かダメだ」と、戦う前から白旗を揚げる不甲斐ない始末です。その度に、自分の心の弱さを知って落ち込んだものです。
しかし、こんな自分にも、「仏界」という素晴らしい命が具わっているんだと知った時の喜びは、忘れることが出来ません。
「我が心本来の仏なりと知るを即ち大歓喜と名づく。」
(『御義口伝』新編1801頁)と。
至近の睫毛(まつげ)は見えなくても、鏡に向かえば見える。
御本尊は、「仏界」という素晴らしい世界を映し出す妙法の鏡です。それをいかに磨き、輝きを増して実生活に生かして真の幸福を実現するか、そこが問題です。
『一生成仏抄』に、
「只今も一念無明の迷心は磨かざる鏡なり。是を磨かば必ず法性真如の明鏡と成るべし。深く信心を発(お)こして、日夜朝暮(ちょうぼ)に又懈(おこた)らず磨くべし。何様(いかよう)にしてか磨くべき、只(ただ)南無妙法蓮華経と唱へたてまつるを、是をみがくとは云ふなり。」
(新編46頁)
末法の私達にとって日蓮大聖人が顕(あらわ)された三大秘法の御本尊に向かって唱題する以外に仏性を磨く方法はありません。
そこに立ち塞(ふさ)がる「己心の魔」を打ち破って強靭(きょうじん)な精神力、和して流されぬ主体性、汚れに染まらぬ清浄な命を養って不動の境界を打ち立ててこそ、真に幸福な人生行路を歩むことができるのです。
立宗宣言の前夜、激しい葛藤(かっとう)の末に、「二辺の中には言うべし」との開教の決断は究極の大慈悲です。
臆病風に吹かれて懈怠(けたい)に流されがちな凡身に鞭打って倦(う)まず弛(たゆ)まず唱題に励み折伏に励む以外に、確かな成仏と真の報恩はありません。