今月の指針 12月号「言葉を慎んで徳を養う」
人の耳は二つ、口は一つです。
話は控えめにして人の話をよく聞きなさい、という戒めかもしれません。
中国の古典『近思録』(きんしろく)には、
「言語を慎しみて以て其の徳を養い、飲食を節して以て其の体を養う。」と。
私は、「喋り過ぎる」、「もっと人の話を聞いた方がいいよ。」と、よく忠告されます。
ついつ喋り過ぎる悪い癖に反省しきりです。
実りある会話を楽しむためには聞き上手になりたい。
でも聞き上手同士では話が弾まず重苦しい雰囲気になることもあります。
口の重い相手には、巧みに話を引き出す努力も必要です。
いずれにしても過不足のない話のキャッチボールができれば、話に花が咲きます。
ところで私達は、朝から晩までひとことも話さないで過ごすことはできません。
しかし一旦口から出た言葉は、もとに戻りません。
だから言葉は大切なのです。
さて仏教には、口にまつわる四つの悪業が説かれています。
平気で嘘をつく妄語(もうご)、心にもないきれいごとを言う綺語(きご)、人の悪口は悪口(あっく)、二枚舌の両舌(りょうぜつ)、この四つです。
御書には、「わざわい(災)は口より出でて身をやぶる。」(『十字御書』新編1551頁)とあり、
『論語』にも、「九思一言」とあります。
普段から口を整えて言葉を選び、人を悲しませたり、傷つけたりすることのないよう努めることが大事です。
『御義口伝』に、
「功徳とは即身成仏なり、又六根清浄なり」 (新編1775頁)と。
唱題で舌根を浄め、口を幸せにして、美しい言葉、優しい言葉を発するよう常に心掛けていきたいものです。
文は人なり、言葉も人なりです。
「折伏躍動の年」を迎えるに当たり、爽やかな勤行・唱題で命と言葉を磨いて折伏と育成に躍動し、大いなる飛躍を期したいものです。
清涼寺 寺報 「従藍而青」
今月の指針 指導教師 石橋頂道 御尊師
2022年12月1日号より