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今月の指針 5月号「目は口ほどに物を言う」

『六難九易抄』(ろくなんくいしょう)に、

「人の身の五尺六尺のたましひ(神)も一尺の面(かお)にあらはれ、一尺のかほ(顔)のたましひも一寸の眼の内におさまり候。」

    (新編1243頁)

と。五尺、六尺ほどもある人間の身体も、その魂は一尺(約30センチ)の顏に現れ、更にたった一寸(約3センチ)の両眼に収まるのです。

様々な縁に触れて次から次へと目まぐるしく移り変わる心模様が、僅か3センチほどの眼に現れる、考えてみれば不思議なことです。

「目は口ほどにものを言う」、「目は心の窓」と言われますが、蓋(けだ)し名言です。


 ところで、言葉に出さなくても相手の目を見るだけで、互いの思いは自ずと伝わるものです。

話をする時は相手の目を見なさい、と子供の頃はよく言われたことを懐かしく思い出します。

人の話をしっかり聞くためには、その目をよく見ることが大事、それは礼儀でもあります。


 ところで相手を深く思いやる心があれば、自然に優しい眼差しが生れます。

やがて心が通じ合い、心の距離が近くなり仲が深まります。

心豊かで眼福に富んでいる人には、他人の長所ばかりが見え、心が貧しく眼福の乏しい人には、他人の短所ばかりが目につく、これもまた事実です。


 大聖人は、「功徳とは即身成仏なり、また六根清浄なり。」と説かれています。

六根の初めが眼根。福徳溢れた目を具え、笑顔を絶やさず穏やかに人と接するには、唱題し、心を磨き、眼根を清浄にすることが大切です。

目に福徳が具われば自分も幸せになり、また周囲も幸せにすること受け合いです。


折伏は、相手を遣(や)り込める理論闘争や法論ではありません。

どこまでも相手を思い遣って苦悩から救い出す抜苦与楽の慈悲行です。

『教行証御書』に、

「和(やわら)かに又強く、両眼を細めに見、顔貌(かんばせ)に色を調(ととの)へて閑(しず)かに言上すべし。」

   (新編1107頁)

とあります。

日夜折伏に臨む私達にとって、常に心がけるべき御指南です。

決して感情に走ったり、声を荒げることなく、あくまで冷静に温和な表情をもって接し、確信をもって相手の過ちを指摘することが大事です。


 初夏の風が爽やかな好季です。

懈怠(けたい)なき勤行・唱題で培(つちか)った化他の力を、隋力弘通の力に変えて折伏に躍動し、尊き地涌の使命を果たしてまいりましょう。


清涼寺 寺報 「従藍而青」

今月の指針 指導教師 石橋頂道 御尊師

2023年5月1日号より

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