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今月の指針「誌名『従藍而青』に込めた思い」

これまで清涼発展に大きく寄与してきた『清流』、『清涼池』の後続として、今般新たな寺報が発行される運びとなりました。

誌名は『従藍而青』(じゅうらんにしょう)、出典は御書『上野殿後家尼御返事』です。


 上野殿後家尼は、大石寺の開基檀那・南条時光の母です。

大聖人から「上野賢人」とまで絶賛された子息・時光の純真不屈の信心は、この母の感化によるものです。

その後家尼に対して大聖人は、生死不二の成仏の大事を教えられ、一層信心に励んで「まことの道心者」になれと激励されました。

「従藍而青」は、その時のお言葉です。


 もともと中国の古典『荀子』(じゅんし)には、「青は藍より出でて藍より青し」という有名な格言があります。

それを受けて天台大師は、『魔訶史観』(まかしかん)に「従藍而青」と説き、仏道修行のあり方を示されました。


 周知の通り、藍は青色の染料を得るための植物です。それ自体はそれほど濃い青色ではありません。

しかし、そこから絞った液に何度も何度も布を浸していけば、その布は見事な青色に染め上がっていくのです。


 大聖人は、この「従藍而青」を引かれて、次のように後家尼を教導されました。法門自体は藍のようなもの、しかし、それを繰り返し聴聞し身をもって修行すれば、やがて信心が磨かれて見事な深い青に染まっていく。

我が身の仏性が輝き不動の境界を開いていくのが、真の道心者なのだと。


 日蓮大聖人は、末法の一切衆生を救う御本仏として、三大秘法の大御本尊を顕されました。

その御本尊の藍から、どれだけ深い青を引き出して見事な青色に染め上げていくか、信心を大成して真の幸せを築いていくか、それは私達一人ひとりの信心にかかっています。


 このことを信心の先輩・後輩にあてはめることもできます。先輩は藍、後輩は青です。

信心の後輩が、講中の先輩からどれだけ信心の藍を引き出して自分の力として、出藍の誉れを体現するか。一方、先輩はどれだけ後輩の同志を見守り育てて見事な青に染め上げていくか。


 学生の頃、私は、ある先輩から「私を追い越せ。」と言われました。

即座にその先輩はこう言ったのです。

「自分も簡単には君に抜かれないよう努力する。こうして切磋琢磨しなければ宗門の発展はない。有為な人材の輩出もない。」と。


 「出藍の誉れ」があってこそ法華講にも人材が生まれ、育って発展していくのです。

清涼寺法華講の未来は、広布の人材育成と輩出にかかっています。

新たに誕生する寺報が、清涼寺法華講一人ひとりの信心向上は勿論、広布の有為な人材育成の一助となることを切に願い、発刊の言葉といたします。


清涼寺 寺報 「従藍而青」

今月の指針 指導教師 石橋頂道 御尊師

2021年12月1日 創刊準備号より

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