今月の指針2月号「志は満たすべからず」
頑健な肉体も今は昔、加齢とともに不具合が生じてきます。
愚癡一つ言わない身体をいいことに、労り(いたわり)と感謝を忘れて暴飲暴食にオーバーワーク、成れの果てが四大不順の病気です。
熟年世代が卓を囲めば健康の話に花が咲く。
文明社会の恩恵 にあずかりながら運動不足を歎く声、飽食に生きて栄養過多に陥(おちい)る現代病患者の嘆き、早期発見には人間ドックが何よりと得意満面に話す御仁(ごじん)、サプリメントは転ばぬ先の杖とばかりに御託(ごたく)を並べる人等々。
昔から、腹八分目が実践できれば医者要らず、健康と長生きが保証されるとか。
しかし食い意地の張った凡夫には難行苦行です。目前の御馳走につい箸が延び、自然に口が開いてしまう哀しさ。雰囲気に酔って今日一日くらいは・・・、などと自分に言い訳しながら、つい食べ過ぎてしまう凡夫の浅はかさ。
膨らんだおなかを人知れず撫でながら自責の念に駆られれば、折角の御馳走も興醒(きょうざ)めです。
閑話休題。中国の古典『礼記』に云く、
「傲(おご)りは長(ちょう)ずべからず。欲は 従(ほしいまま)にすべからず。志は満たすべからず。楽しみは極(きわ)むべからず。」
「志は満たすべからず」とは、敢えて志を満たさないのが更なる飛躍に繋(つなが)る賢明な生き方だと説いています。
一方、志を立て目標を掲げて最善を尽くしても達成できなかった場合、却ってその悔しさがバネとなって不屈の精神を呼び起こし、不断の努力に繋がって飛躍と成功を勝ち取ることができるのです。
失意と逆境の時にこそ不屈の信心を呼び起こそう。
倦(う)まず弛(たゆ)まず勤行・唱題に打ち込めば、傲(おご)りのない無欲で瑞々(みずみず)しい命が輝き、変毒為薬(へんどくいやく)・転厄為幸(てんやくいこう)の功徳が湧いてきて、力強い不動の人生を歩むことができることを肝に銘じたいものです。
清涼寺 寺報 「従藍而青」
今月の指針 指導教師 石橋頂道 御尊師
2026年2月1日号より
