今月の指針7月号 「白烏(はくう)の恩 忘るべからず!」
颯爽(さっそう)と風を切って走る自転車。近年は環境保護や自然エネルギーへの関心の高まりと共に健康的な「優れもの」として世界的に脚光を浴びているらしい。その轍(わだち)は、僅か3センチ。しかしその何倍もの道幅がなければ、路上を走ることはできません。
私達は、生れてこの方、無数のものに支えられながら生きています。「人」という字は、人が支え合う姿です。支え合い、助け合って生きていることを忘れてはなりません。父母の恩・国主の恩・一切衆生の恩、そして三宝の恩、どれも絶対に忘れてならない恩徳です。
歯が抜けて噛み締める親の恩。両親の無償の愛は、尽くしても尽くしきれるものではありません。人の親となり、年老いて初めて実感できるかけがえのない恩徳です。長じて社会に出れば、国土社会から受ける有形無形の恩恵も計りしれないものがあります。
所詮 社会は、人と人との繋がりです。たった一度の食事でも、そこには数え切れない人手がかかっています。一切衆生の恩恵がなければ、一日たりとも生きることはできません。
だからこそ「皆仏になれ」と思う化他の心が大事なのです。
これらの恩に報いて実りある人生を送るには、正しい仏法僧の三宝の恩を報じて人格を磨くことが最も大事です。今、時代は五濁に塗れた悪世末法。
その時代に適った三宝は、本門戒壇の大御本尊を根本とした下種三宝以外にありません。三大秘法の南無妙法蓮華経の御本尊を通してのみ真の成仏、真の幸福が叶うことを銘記しましょう。
自転車は、轍の何倍ものゆとりがあってこそ、悠々と走ることができる。私達末法の荒凡夫は、四恩の恩恵があってこそ自受法楽(じじゅほうらく)の充実した日々を送ることができる。
その根本にわが身を妙法に導いた「白烏の恩」(はくうのおん)があることを忘れてはなりません。この大恩をわが身に深くんで、謗法に染まった「黒烏」を折伏するのが法華講の使命というものです。
さあ!一年の折り返し、後半最初の七月です。厳夏(げんか)を制して、『立正安国論』の破邪顕正の正義に燃えて折伏を実践し、共に手を携(たずさ)え報恩の誠を尽くしてまいりましょう。
清涼寺 寺報 「従藍而青」
今月の指針 指導教師 石橋頂道 御尊師
2024年7月1日号より