今月の指針5月号「折伏の第一歩」
日蓮大聖人は、『十字(むしもち)御書』に、
「月は山よりいでて山をて(照)らす、わざわい(災)は口より出でて身をやぶ(破)る。さいわい(幸)は心よりい(出)でて我をかざ(飾)る。」
(新編1551頁)
と説かれています。
山の端(は)から出た月は、自らその山を照らします。同 じ照らすにしても、そこには善悪の二面があることを知らなければなりません。
憎しみや恨みの心で言った言葉は人を傷つけ、その行動は周囲に不快感を与えます。それらは我が命に悪業を刻み、やがてわが身を苦しめる結果になるのです。
「人を呪(のろ)わば、穴二つ」、災いは口より出て身を破る、自業自得の因果です。
反対に、思いやりのある心で語る言葉は、相手を温かく包み込み、正義の心で実践する活動は善根となって命に刻まれ、やがて幸せの果報となるのです。
幸いは心より出て我が身を飾る、これも自業自得の因果です。韓国の諺(ことわざ)に、「語りかける言葉が美しければ、返ってくる言葉も美しい」というのがあります。
いくら命に仏界が具わっていようとも、それは十界互具の命です。本門の大御本尊という明鏡に向かって我が生命の本体を映し出し、それを倦(う)まず弛(たゆ) まず磨かなければ、仏性の光を放つことはできません。
「心こそ心を惑(まど)わす心」です。自分の一番近くにありながら、自分の思うに任せない我が心、心の手綱は緩めてはなりません。「心の師とはなるとも、心を師とせざれ」とは、大聖人の常の誡めです。
信心とは、移ろい易い自分の心を根本とするのではなく、三大秘法の御本尊を我が心の師と定めて深く信ずることに他なりません。正しい信心によって磨いた豊かな心から出る優しい言葉、優しい態度が他人との距離を縮めるのです。
それが「折伏の第一歩」です。
清涼寺 寺報 「従藍而青」
今月の指針 指導教師 石橋頂道 御尊師
2026年5月1日号より
