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今月の指針 6月号「志は満たすべからず」

『礼記』(らいき)に、

「傲りは長ずべからず。欲は従(ほしいまま)にすべからず。志は満たすべからず。楽しみは極むべからず。」

とあります。


 傲りは驕慢(きょうまん)、十四謗法の筆頭です。自信と確信は生きる力、慢心は衰退の源です。

「慢は山の如し、雨水止まらず」。山上に降った雨が瞬く間に下方に流れるように、慢心は積んだ功徳を洗い流してしまいます。

信心の難敵である驕慢を絶対に看過してはなりません。


 貪欲(どんよく)は、放置すれば身の破滅を招きます。

少欲知足(しょうよくちそく)は、貪欲を抑える心のコントロールです。

欲望も志も満たされないからこそ別の志が立ち、新たな発心が芽生え、更なる進歩に繋がっていくのです。


 もし志が簡単に達成できたとしたら安心が生れ、過信を生み、魔がつけ入って躓き(つまずき)のもとになります。

楽しみも極めれば侘びしさ(わびしさ)が残り、酔い覚めの空しさを味わうことになります。

人間にとって、志というものは満たされないからこそ、更なる高みを目指して努力を重ねることができるのです。


 日蓮大聖人は、

「深く信心を発こして、日夜朝暮に又懈らず(おこたらず)磨くべし。何様にしてか磨くべき、只南無妙法蓮華経と唱へたてまつるを、是をみがくとは云ふなり。」

   (『一生成仏抄』新編46頁)

と御教示です。

信心とは、常に前進して自己の成長を願うもの、進まざるは退転です。

魔は虎視眈々(こしたんたん)と油断の隙を狙っています。

三大秘法の御本尊を固く信じて、倦まず弛まず(うまず たゆまず)勤行・唱題に励んで仏性を磨く、そこに何ものにも侵されない瑞々しい命が輝き続けることを忘れてはなりません。


 自行の着実な実践が化他の力を生み、折伏の意欲が沸き上がって弘教の実践に繋がります。

「自行満ちて化他あり。」皆様の充実した日々を心からお祈りいたします。


清涼寺 寺報 「従藍而青」

今月の指針 指導教師 石橋頂道 御尊師

2022年6月1日号より

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