今月の指針9月号「和顔施(わげんせ)」 四十を過ぎたら自分の顔に責任を持て!
布施とは、印度の言葉「ダーナ」の漢訳(音訳は檀那)です。そこから連想するのはまずお金や物、それも大事な布施行の一つです。しかしそれだけではありません。金品が無くても相手に喜びを与えることのできる布施もあるのです。
この「無財の施」の一つが「和顔施」です。
かのアメリカの大統領・リン カーンは、「四十を過ぎたら自分の顔に責任を持て!」という有名な言葉を残しています。生まれつきの顔は親譲(ゆず)り、でも四十を越えたら自分の顔に責任を持つことが大事、人生模様が刻まれた顔は、正に自己責任の産物です。
四十年の人生は、そのまま自分の顔に表れてくるのです。
なるほど意地の悪い人は、何となく意地悪な顔?に見えてきます。怒りっぽい人の顔は、どことなく怒り顔?。性格のきつい人は、何となくそんな顔になってくるから不思議です。
決して他人事ではありません。「人の振(ふ)り見て、我が振りを直せ」です。果たして自分は、普段からどんな顔をして人に接しているか、改めて鏡を見るのも大事です。
心にもなく不機嫌な顔をして、周囲の人に不愉快な思いをさせてはいないか。笑顔が消えた渋い顔で不快な思いを与えていないか等々。
いずれにしても日頃から、にこやかな顔で人と接するように努めることが大切です。にこやかな顔、笑(え)みを湛(たた)えた顔、優しい顔、それは人の心を和(なご)ませる一銭もいらない無財の施しです。
そういえば昔、「百万ドルの笑顔」という言葉がありました。時と場合によっては「百万ドル」もの価値があるのです。
ところで日蓮大聖人は、
「親によき物を与へんと思ひて、せめてやる事 な(無)くば一日に二三度え(笑)みて向かへとなり。」
(『上野殿御消息』新編920頁)
と、笑顔の効用を説かれています。一日に二、三度笑顔を振り向けるだけでも立派な親孝行、何と素晴らしいことでしょう!
「功徳(おおきなるさいわい)とは即身成仏なり、又六根清浄なり」
(『御義口伝』新編1775頁)
純粋な信心で眼耳鼻舌身意の六根を磨けば、笑顔がこぼれ円滑な人間関係、心豊かな人生が広がること請(う)け合(あ)いです。笑顔は折伏実践の大切な心得の一つです。たかが笑顔、されど笑顔。信心根本に笑顔を絶やさず、飽(あ)くなき挑戦、弛(たゆ)まぬ努力が肝心です。
清涼寺 寺報 「従藍而青」
今月の指針 指導教師 石橋頂道 御尊師
2025年9月1日号より